「家族の柱」

先日、「一寸の神棚」の話をさせてもらったら、「他に話はありませんか?」という要望がありました。
「モノに込められた思い」という講座からもう一事例、紹介させていただきます。
(建て主さんから了解をいただきましたので。)

「家族の柱」というタイトルで始めました。




下の写真は11月4日にアップした写真、「お父さんの柱、お母さんの柱、子供達のボード」です。




「目隠しボード」と言われればそんな風にしか見えません。
でも、写真を、よくよく見てください。

右側の柱と左側の柱の大きさと形状が異なることにお気づきですか?

図面で見るとよく分かると思います。
(これは平面詳細図といって、物を水平に切って上からみた図面です。)




右側の柱が角柱(90ミリ)、左側が丸柱(70ミリ)、右と左で大きさも少し違い、形状も違うのがわかりますでしょうか?


“ 経緯 ”
当時「この柱とボード」はこんな経緯から創られました。
(四年前、お子様たちは小学生でした。)
奥のトイレの入り口ドアがダイニングから見えてしまいますので、「目隠しボードを作りましょう。」と考えたのが始まりでした。

奥様が、「そのボードに、息子の作ったお面とお姉ちゃんの絵も飾りたい。」と言われました。

「そうだ!ここをコルクボードにして、家族のコミュニケーションボードにしましょう。
さらに
お父さんと、お母さんが一生懸命頑張って、この家をつくるのだからお子さんたちが大きくなってもその思いが残るもの、感じられるものにしましょう。」と私が提案しました。


そして、スケッチ。






“お父さんの角柱、お母さんの丸柱、そこに囲まれる子供たちのボード”

そして、さらにひらめいて、
「お父さんの柱、お母さんの柱、親子柱の真ん中に子供たちがかこまれる。そんなコミュニュケーションボード」を創ることにしました。

当初は、左右同じ角柱、でもお母さんはいつも優しいから、優しさの出る丸柱、さらに、お母さんからは、「お父さんより、スマートな、ちょっと小ぶりな体形(柱がスマート?小ぶり?)にしてください。」という要望(要求?)まで飛び出しました。


“時が経過して”(四年経ち)

久しぶりにおじゃましました。奥様からは突然の訪問にも関わらず「上がってください。」と言われ上がってみると。

整理収納アドバイザーからから見ても“まさに模範生”!お部屋が見事に整理整頓!

(整理収納のメリットのひとつに「整理収納されていると突然のお客様が来ても大丈夫とある」、見事実践!)

奥様からいろいろ、いいお話を伺うことができました。
そこで“グットきてしまった”ボードに張られた「一枚の写真」。


“一枚の写真”

そこにはお嬢さんの小学生の写真が飾ってありました。いま、お嬢さんは中学生です。

あるとき、おじいちゃんとおばあちゃんが遊びにきて、こんな話をされたそうです。

ボードの写真をみて「○○ちゃん、小学生の時にこんなにも朗らかに笑ってたよね。最近、こんな笑いが少なくなってしまったけれど、こんな風に笑ってもらいたいね。」

子供が小学生から中学生へと成長して行くときによくある現象ですね。
子供から大人になる成長の証。これもこの家族の成長を物語っています。


“笑う門には福来たる!”

ボードの裏側に回ってみました。




ムムムム。何、この文字、さらに近づいてみるとなんとそこには「笑う門には福来たる」と書かれているではありませんか。

よくよく聞けば、お父さんが正月にひいたおみくじの文字、お父さんが手作りのきれいな板を用意し、そこにお嬢さんが達筆な文字で「笑う門には福来たる」と描いたそうです。






ここには一組の家族の幸せがある。

「このボードはコミュニュケーションという力を持って、この先この家族のこころの豊かさを育んでいくだろう。」

私の気持は本当に温かくなりました。
  


2008年11月17日 Posted by yutakanacocoro at 00:02Comments(4)整理収納事例

収納講座の感想・意見 1寸の神棚

先日の整理収納講座で感想・ご意見をいただきました。

・暮らしや、モノや収納関係の細かさがでていた。
・整理収納の第一歩は捨てることだが、捨てると勧めるはずのモノが家族のコミュニケーションに役立つアイテムになっていた
・エアコンの取り付け位置が「掃除出来るか」が気になった。お掃除のプロの方の意見。
・他

10数例説明させていただきましたがブログで一例だけ説明させていただきます。
私の目指す「こころ豊か住まいづくり」はこんな事例です。

「一寸の神棚」とタイトルをつけさせてもらいました。





神棚というとお社がついた立派なものを想像するのではないかと思います。棚板の寸法の基本があるのをご存じでしょうか?
棚板の基本寸法は、巾、3尺6寸5分(110cm)で1年の365日から数値がとられています。
奥行きは12ヶ月の1尺2寸(36cm)、厚みは1日の1寸(3cm)といった具合です。

図に現わすとこのような絵になります。





若い家族が望んだ神棚はこのようなものでした。

・毎日、お水をあげて家族の無事を祈りたい。御主人と二人の学校に行く子供たちのために。
・キッチンのそばで毎日、すぐにお水をあげることができる位置。
・ダルマも毎年。お正月に飾れるように。

そこで、神棚のいわれを十分に説明してこのような神棚ができました。





キッチン裏の狭いスペースと予算の関係上、形式上の棚の形態は取らず、寸法の一部にこだわりました。
棚板は1日にこだわり厚み1寸、横の幅が取れないので高さ方で365の数字をあてはめました。
こじつけかも知れないけれど、たったこれだけ?でと思うかも知れないけれど、十分気持ちが入っている。
それを私は大切にしたい。

1日の大事さと365日の無事と。
何よりも毎日の家族の無事を祈る気持ちが大事、それが心の豊かさと考えます。

このような各々の事例と心の豊かさが結びつくことを講義させていただきました。
全部かけないのが残念ですが・・・。

モノと向き合ってこころ豊かな住まいづくりを目指す。20世紀の高度成長期の時代を駆け上がり、モノであふれてしまっている現代、モノは豊かになったけれど何かが貧しい。その反省も踏まえ、一つ一つのモノと人との関係に向き合い、本当の豊かさを築いていく時代ではないかと思います。

  


2008年11月08日 Posted by yutakanacocoro at 10:28Comments(4)整理収納事例